そもそもアクセス解析は必要なのか?を考えないと解析ができない。
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昨日、今日とアクセス解析をやる目的は?とか、そもそもそれをやる意味は?といった記事が目につきました。アクセス解析に限らず何をやるにしても目的が重要なのですが、解析ツールやソーシャルメディアなどの手段がクローズアップされてしまって肝心の部分がぼやけてしまいがちです。「アクセス解析を行う際に考えること」についての記事をいくつかピックアップしましたので説明を加えながら紹介していきたいと思います。
■いきなり自分のスライドで恐縮ですが・・・
先日のWCANでのスライドです。
アクセス解析は必要かどうかと聞かれれば基本的に不要で、欲しい情報があれば使うといった感じだと思います。ツールを理解して、設定して、データを集計して、グラフ化して、「でなに?」で終わらないためにも欲しい情報は最初に明確にしておきたいですね。とはいっても、Googleアナリティクスのようなタグ型のツールは過去にさかのぼってデータは取れないので、早い段階からデータの収集はしておかないといけないです。
■最適化(一般的にはここが解析のイメージ?)の前に
ビジネスのゴール、サイトの役割など大きな部分については、サイトに関わっていれば意識していることが多くあります。しかし、実際の運用となるとサイトの役割は自分の行っている運用とは少し離れてしまっていることもあります。
そこでこれを埋めるためにKBR(Key Business Requirement)を決めておきます。
これがないまま、解析してコンバージョン増やして・・・というケースは多いはずです。ビジネスのゴールは本当に強く意識しないといけないですね。そして、ここに書かれているように、細かいことをする前に大まかなところから始めましょう。
■解析の収穫逓減の法則
Insight for WebAnalytics: アクセス解析などのデータ分析における13の原則
最初の解析で直帰率の改善やコンバージョンプロセスの改善などで劇的に改善を行う事が出来たとしても、同じパフォーマンスを維持していくことは難しいです。2回目、3回目の分析改善活動は、1回目より効果が減っていきます。解析も費用対効果を考えて取り組むことが重要です。
ここがいわゆる「解析疲れ(やっている人は分かってくれると思う)」になってきます。毎月レポート出すけど変わり映えしないよね→サイトの効果もあまり変わらないし解析やめようか、となるか、ただの数字閲覧会になるかどちらかのパターンです。これは当たり前で、体重150kgの人がダイエットして100kgになりました!とはなりますが、そこから90kg、80kg、70kgとなるとだんだんやる気が衰えてくるのと同じイメージです。安定期に入ったら、PC以外のデバイスでの解析、新たなコンテンツの投入、Web以外との連動など考えてPC中心の解析から離れていかないといけないです。離れていても安定してデータは取得できているので効果は測定できるはずです。そうなると他部署との連携などが必要になるので、全社的な取り組みになりますし、小さい会社では経営自体に関わるようになってきます。
■明確な軸をもって解析
ウェブ分析をする上で大切な「4つの視点」と「1つのサイクル」 – リアルアクセス解析
1)まずアクセス解析ツールのデータを見てみましょう。その際に「トレンド」と「セグメント」の視点でデータを確認します。
2)データを見て得た気づきを記録する事が大切です。データを見ている時に感じたことは、翌日になると結構忘れてしまいます。更に見つけたギャップのついても深堀りをして気づきを追加していきましょう。10~20個くらいは出てくるかと思います。
3)見つけた気づきから施策を考えます。この時に金額換算で考えるのが大切です。少し難しい部分です。施策を考える際のポイントは「金額影響が大きい」「施策が行いやすい(改修の手間が少ない)」「結果が出るのに時間がかかりにくい」「測定がしやすい」といったあたりになります。
4)後は実際に直してテストをするという部分です。この結果をまたデータを見てトレンドやセグメントに変化が起きたかを確認しましょう。
衣袋さんの記事とかぶりますがより現場寄りに書かれているので、実務ではこの記事を参考にしていただくと良いと思います。
■同床異夢ではダメ
【メルマガコラム】ウェブのKPI設定にはビジョンが不可欠 « アクセス解析の協議会 アクセス解析イニシアチブ
ウェブサイトだけでビジネスが完結していることは、まだまだ多くありません。多くの企業は、ウェブサイトの先のリアルなビジネスと密接に連携させながら、ビジネスゴールに向かっています。わたしもコンサルタントとして関わらせていただく際は、基本的にはこの「ビジネス全体」を俯瞰して支援することになるのですが、恥ずかしながらその企業の「ビジョン」にまで思案を巡らせることはあまりなかったように思います。
そう、ビジョンももちろんその企業が向かうべきゴールなのですから、横に置いてはいけません。
大前氏も、ウェブアナリスト養成講座の中で仰っていましたが、ビジョンまでのロードマップを引いた上で、その折々のステイタスを見計らいながら、その時点での目的やゴールやKPIは見直していかなくてはいけません。そして、その道は必ずビジョンにつながっているということ。
解析する人間もビジョンを共有できるか?が継続的に解析をしていく原動力だと思います。ここに疑問が出てきたり忘れてしまうと最終的には埋めがたい溝ができてしまって、何も変わらずに時間だけが過ぎていってしまいます。私も初めてのサイトを解析するときは必ず経営理念などを確認して、それを実現するためには?を考えるようにしていますので、サイトを見る前に理念(ビジョン)を確認して、行き詰っても理念を確認です。
これらの記事は今から解析を始める人には分かりづらいかも知れませんが、困ったとき、悩んだとき、行き詰った時に読んでいただけるとヒントがあると思います。
その1:アクセス解析は数字だけを追ってはいけないけど、数字の根拠は知っておかないといけない
その2:アナログ効果測定のススメ
その3:アクセス解析の3つの視点
その4:アクセス解析は初回の解析で全てが決まる。