アナログ効果測定のススメ
先日の記事でアクセス解析での数字に対する考え方を書きました。今回はちょっと変わった効果測定の方法についてです。
Webサイトの効果ってできるだけきっちりと取りたいのですが、それができない時にどうするのか?を考えてみましょう。
■コンバージョンが取れないときってけっこうある
解析をしていてコンバージョンが取れないのってイライラするものです。自分が制作していなくてコンバージョンページに解析タグが貼れない、フォームが別ドメインになっていてセッションが切れてしまう、同一ページで遷移してしまってサンクスページがない、などなど・・・。こんな時は何とかして取れるようにソースをいじったりするわけなんですが、諸事情によりそれが不可能な場合もあります。
この場合の対処法は3つ
- コンバージョンが取れないので解析をしない、もしくはできないという
- 取れる範囲のデータで改善しましょうと提案する
- 他の目標を設定しましょうと提案する
■できないは最悪
最初の対処法は最悪です。こんなことを言うのなら最初からアクセス解析なんてやらなくていいですし、そもそも改善しようという意思が感じられません。しかし、いなさそうで意外といるのがこのタイプ・・・。
■頑張ってどうにかするなら、できる範囲で頑張る
2つ目は現実的な回答です。分かる範囲でできることをするのは当然ですよね。コンバージョンが取れなくたってアクセスを増やしたり、直帰率を改善するなどの基礎的なことはできますし、地域やOSや訪問回数などのデータからユーザー層をイメージすることができます。無駄に感じる人もいるかも知れませんが、この情報をクライアントに持っていくことで議論が進んで改善ネタが出てくることもあります。例えば、どこそこの地域で平均PVが少ないという事実と、そのエリアは競合がひしめき合っていてお客さんも比較してから来店しているという事実があれば、比較検討時に有益な情報やお得情報を掲載して平均PVを増やしてみるという提案ができます。
■Webサイトからの脱却
3つ目は出てきそうでなかなか出てこない考え方です。Webサイトに関わっている人のコンバージョン至上主義みたいな思考が邪魔をするんですよね。そうでなくても、自分で勝手に思考に制限をつけて悩んでいるケースって本当に多いと思います。(思考を広げるための方法は一番最後に)
こんな時は目標をお客さん(担当者、経営者、エンドユーザーなど)の反応をコンバージョンとして考える手があります。とっても簡単な話でお客さんが「最近ホームページいいね~」と言ってくれればコンバージョンです(笑)。一見バカバカしそうに見えますが、お客さんが一番現場を知っていますし、最終的な目標はお客さんのビジネスを伸ばすためにあるので、そこの満足度を目標にするのは理にかなっていますよね。大企業相手ではなかなか難しいかも知れませんが、中小零細企業であればこの方法は可能だと思います。
■お客様満足度にするといいことが
数値目標がないので数値データをお客様に見せてもあまり意味がありません。すなわち定期レポートを出さなくて済みます。これは解析担当者にとって月初の仕事が減るという素晴らしい出来事、かつコスト削減ということになるので、両社にメリットがあります。いつも言っていますが、データを出したり測ることは目的ではありませんよね。もちろん解析側はいつでもデータを出せるように準備をしておく必要があることはお忘れなく。
この場合は、これをやったらお客様の反応がこうだったということをこまめにヒアリングすることです。これをやったらの「これ」は、サイトで何かした場合もそうですし、リスティング広告を出した場合もそうですし、展示会やキャンペーンなどのイベントもそうですし、テレビなどで関連商品が取り上げられた時もそうです。つまり、お客様を取り巻く状況の変化と、それに対応してお客様のビジネスがどうなったか?を測ることなのです。そして、その状況などに対してWebサイトができることを考えるのが解析をする人の仕事なのです。
アナログ効果測定ってバカバカしそうに聞こえますが、ものすごく基本的で、ものすごく難しいことです。数字ではなくて人間や世間が相手ですからね。Web業界だけに関わっている人はこういったことを学ぶ機会がないケースが多いので、たまにはビジネス書を読んでみるといい刺激になるかも知れません。
※アイデアが出ないときにはオズボーンのチェックリストがおススメです。
その1:アクセス解析は数字だけを追ってはいけないけど、数字の根拠は知っておかないといけない
その2:アナログ効果測定のススメ
その3:アクセス解析の3つの視点
その4:アクセス解析は初回の解析で全てが決まる。