統計でウソをつく方法を読んだ
数字を扱っていると表現しだいで知らないうちに相手をだましてしまう場合がありますし、知っていて相手をだます(厳密には違うかも)こともできてしまいますので、どういったことをするとどういった解釈をしてしまうのか?ということを知っておくことは数字を扱う者であれば、必須の知識になると思います。この本は1968年に発行されていますが、今読んでも全く古い感じはせずに新鮮に感じますので、まずは読んでおくべき本ではないかと思います。
■こんな内容です
1.かたよりはサンプルにつきもの
そもそもデータの元となるサンプルから偏っていることが書かれています。よくあるのは新聞を読んでいる人を対象にした新聞が必要ですか?という調査ですね。
2.「平均」でだます方法
平均=もっとも標準的な値と思いがちですが全く違います。平均収入がいい例で、実感より多くなるのはごく一部の大金持ちが平均を上げているからです。
3.小さい数字はないも同然
数字だけでてくると納得しがちですがそもそもサンプル自体が少ない場合は意味がありません。子供が周りの2~3人のことをみんなというのと同じですね。
4.大山鳴動 ネズミ一匹
確率誤差のことが書かれています。よく例に挙げられるのはTVの視聴率ですね。http://www.videor.co.jp/rating/wh/07.htm
5.びっくりグラフ
グラフで違った印象を与えることについて書かれています。グラフの一番下が0でない場合や途中で間隔が変わっているときなどは要注意です。
6.絵グラフの効用
5の内容と似ていますが、こちらは絵を使った場合です。2倍を表す時に単純に長さなどではなくて実は面積や体積になっている時がありますが、これは2倍ではなくて4倍か8倍になっています。
7.こじつけた数字
意味のありそうな数字でも実は意味がないということが書かれています。よくあるのが○%の伸びというやつです。売上が前年同期比で200%上がったとあっても、前の年が不景気で今年が好景気ならそりゃそうだろってなりますよね。
8.因果は巡る
いかにも相関関係がありそうで実はそうでないことがある、という内容です。学歴と収入がいい例で東大卒のラーメン屋さんもいるでしょうし、そもそも金持ちの人が有名私立大学などに入っていることもあるでしょうから。
9.統計操縦法
統計データを使って誤りを伝える方法が書かれています。例えば貯金が年に1%増えて翌年には2%増えたという時は、1%ポイント増えたでもいいですし100%増えたでも問題ないわけです。
10.統計のウソを見破る五つのカギ
だまされないための五つの方法が書かれています。統計の出所、調査方法、隠されている資料、問題のすり替え、意味があるのか?の五つです。
読んでみると当たり前だと思うことが多いはずですが、いざデータを見せられると気付かないことが多いので、この本の内容を意識してみると新たな気づきがあると思います。