小さい会社のECでSNS運用に関してとっても参考になる記事があったのでまとめました。
日々情報収集をしていると1つのテーマで違う視点から書かれた記事が集中するタイミングがありまして、今回は小さい会社のECに参考になる記事がありました。
小さい会社のEC=月商100万円~300万円としていますので、その範囲から大きく外れる場合はご注意ください。
そもそも小さい会社のECは率と数に頼らない方がいい。
そもそも率と数に頼るのは大企業というか大きな会社がやることです。率で考えるには数が必要です。数を集めるにはお金がいります。月の広告費で最低でも100万単位のお金が必要です。数十万円でやれないこともないでしょうが、数百万単位でやっているところには勝てないので同じ土俵に乗らない方がいいです。
過去の戦史を見ても小が大に勝ったのは、奇襲であったりゲリラ戦術であったり狭いところに誘導して数の不利を解消した場合です。真正面から戦って勝つことはありません。この前提は認識しておきたいです。
SNSではカスタマイズした個別メッセージが効く
デジタルマーケの基本できていますか?月商100万円~300万円のブランドが実践すべき6つの打ち手とは (1/4)|ECzine(イーシージン)
よく「いいね」やコメントをくれる仲の良い人に、個別に特集やキャンペーンのお知らせをご案内しましょう。対象の多くは、友人・知人や顔見知りになるかと思います。
1人ひとりに送付するだけでも煩雑だ、面倒だと感じる方もいるかもしれません。しかし、ここであえてお薦めしたいのは「送付する相手に合った個別メッセージを送る」ことです。
デジタルマーケの基本できていますか?月商100万円~300万円のブランドが実践すべき6つの打ち手とは (1/4)|ECzine(イーシージン)
これはものすごく有効というかやった方がいい施策です。もちろんDMが送れなければメールでもいいですし、場合によっては電話でもいいでしょう。向こうはこちらに興味を持ってくれているのですから、一斉配信的に送っても「その他大勢と同じ扱いなんだな」と思われてしまいますし、堅苦しい文章でも「距離を取っているんだな」と思われてしまいますので、どこまでいっても相手はこちらのことを気にしてくれません。
上に書いたように率と数で勝負をするようなことを相手は求めていないんですよね。自分だけに何かしてくれるのが嬉しいのです。
仮に10人に送ったとして、たった10人に送ってどうするの?という人がいますが、その10人がさらに5人に紹介してくれるかもしれませんのでじわじわ広がっていく可能性があります。さらには、いろいろなことを気軽に聞くことができる10人なので、新商品だったり新しいサービスだったりの開発のヒントを聞くこともできます。
不特定多数に聞くアンケートでは見えないものが見えてくるので、自分たちのことに興味を持ってくれる人は意図的に増やしていかないといけません。
人見知りだとかコミュニケーションが苦手だから…とおっしゃる人もいますが、ECは小売りなのでコミュニケーションが取れない場合はものすごく難しくなることは間違いないです。コミュニケーションが取れない場合の打ち手は値下げぐらいですが、その勝負なら大企業が赤字でやってきたときに勝てませんので、ほぼ100%負けます。
小さい会社のECは細かい個別のメッセージがとても重要だということは覚えておきたいです。
※何でもかんでもDMを送れといっているわけではありません。逆に迷惑に思われれるだけです。相手のことや距離感を考えて適切な時に適切なDMを送りましょうということです。
新小岩の焼き鳥屋さんの例
SNSはインスタグラムだけでなく、FacebookやTwitter、YouTubeなど時代の流れに合わせてアカウントを立ち上げています。常に手探りではありますが、YouTubeを見て、食品は特に動画だと美味しく見えるので「これから来るな」と確信しました。
そこから動画を活用し始めて、今は実店舗の人間が料理を作る様子や仕込みの様子を撮影して、インスタグラムやYouTubeにアップをしています。また、インスタグラムはアカウント開設時からお店の情報だけにせず、地域の町内会や団体など地元の情報も発信することを意識してきました。鳥益から発信によって新小岩に興味を持ってもらい、集客につながればという想いもあります。
温故知新で老舗を守る飲食店「鳥益」の1人EC運営術 | EC・ネット通販を中心とした物販ビジネス専門メディア 「コマースピック」
こちらは集客を意識せずに自分たちに興味を持ってくれればいいという動機でSNSを始めています。それって売上につながるの?それって言って意味あるの?ということを考えていてはいけません。SNSは告知媒体ではありませんので、売上のことを考えたような投稿は見てもらえませんし、昨今のSNSでは表示すらされないでしょう。
自分たちのことを伝えるのではなくて、相手に興味を持ってもらうことを考えたり、相手が気になるようなことを投稿した方がいいですね。何を投稿したら興味を持ってもらえるの?と思った人は、興味を持ってもらえそうな投稿をして探っていくしかないです。それがコミュニケーション。
「新商品発売です!」と言われても、ものすごく話題性があったり熱狂的なファンがいない限りは「ちょっと前に買ったからいらない」と思われておしまいでしょう。最低でも「○○ファンのみなさま待望のあれが入荷!」のように相手を絞るとか、「先日お問い合わせのあった在庫切れ商品で、同じメーカーから類似の新商品が出ましたのでご連絡しました!」といったDMを1つ送った方が興味を持ってもらえるはずです。
最初の記事と同じように全員に興味を持ってもらうのではなくて、だれか1人だけでもいいので響くような内容がいいです。
そもそもSNSは「各個人の興味」が支配する世界
無名の中小企業がSNSで3000フォロワーを達成。その結果まとめ。|丸山耕二(Koji Maruyama)|note
SNSって、YouTubeもそうですけど興味のある人の話を聞きたいですよね。
ずっと続くのは「人への興味」であって、「情報への興味」ではありません。これが最も大切で。
無名の中小企業がSNSで3000フォロワーを達成。その結果まとめ。|丸山耕二(Koji Maruyama)|note
結論ですが、まずフォロワーを増やしても戦略がなければ有名になるわけでもなく、メリットは特にありません。
なので、ほとんどの中小企業のSNS活用において、新規獲得は広告や企画で「SNS上の口コミが増えること」を目的にして、自社アカウントは顧客との関係作りでいいのではないかと思います。
無名の中小企業がSNSで3000フォロワーを達成。その結果まとめ。|丸山耕二(Koji Maruyama)|note
これが現実です。
私の感覚からも紹介した2つの記事からもほぼ間違いのない事実です。
SNSでマーケティング!というのは、認知度がそもそも高いもので新しく始めるとか、SNS運用がものすごくうまい人が運用するとか、運よくすごい人がいた、ぐらいじゃないと成果が出ないと思います。もしくは、とっても粘り強く運用する人がいるか、ものすごく前向きな組織であるか。とにかく片手間に運用して結果の出るものではないです。
あとは自由な投稿ができるかどうか。
最初は上司チェックがあっても仕方がないですが、問題ないとわかれば自由に投稿してもらうのがいいでしょう。ウダウダ言われたらなかなか投稿できないですからね。このあたりの参考記事はたくさんありますが、この記事が説得力があります。
木村さん:費用対効果を求めすぎると管理が厳しくなります。この投稿でどのくらいの成果が上がるのかと考えはじめると、何もできません。弊社では、Twitterの効果は直接的にも間接的にも把握していません。厳密に費用対効果を追求すると時間をとられますし、できないことも増えます。それより、コミュニケーションの場として自由に、自分たちが楽しんでいる姿が見えるほうが周囲に面白いと思ってもらえるはずです。
田島さん:効果が見えないとやらないという判断をする方も多いと思うのですが、効果はわからなくてもTwitterが必要と考える理由は何ですか?
木村さん:Twitterにより、確実に木村石鹸に興味を持ってくれる人が増えます。コミュニケーションの場として、自分たちをさらけ出す場として、僕たちのような規模の会社からすると、Twitterを使ったほうが良いんです。そこに費用対効果を求めだすと本末転倒です。
Twitterで共感の声多数!木村石鹸に見る、社員が主役の“正直マーケティング”【セミナー体験レポート】 | EC・ネット通販を中心とした物販ビジネス専門メディア 「コマースピック」
もう、これがSNS運用の答えなのでこうするしかないです。
あとは「時間がない」問題への対応。
なんでもはできないと「諦める」
対策としては、優先順位を決めるより「劣後順位」を決める方が重要です。つまり、やらないことを決める。あれもこれも優先したい中で、「これは涙をのんで後回しにする」という決定をやっていく。
諦めて諦めて諦める。。「これは後回し」「これも後回し」「これは簡略化」をギリギリまで削って削っていくと、「最優先のなにか」が浮かび上がります。その最優先された仕事にこそ、集中して取り組む。
2022 中小事業者の理想実現に「今いちばん大切なこと」を話そう | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
毎年恒例、個人的に楽しみにしているコマースデザインの坂本さんの年頭ブログです。
で、ここに書かれていることが結論です。
SNSをやる意味があるのか?他に注力した方がうまくいくのではないのか?を徹底的に考えた結果でSNSであれば紹介した記事が参考になると思います。簡単に売れる方法を探した結果のSNSであれば参考にはならないでしょう。
小さい会社のECはやることが多すぎて何かと散漫になりがちです。ヒントになりそうな記事はたくさんあるもののそれをやりきる時間がないのであれば、今までやり切ってないことをやってみた方がいいですよね。SNSやマストの施策ではないですから。
目の前の1つの注文を大切にする
ECの場合はどうしても人の顔が見えないですし、注文数が増えてくると対応もさらっとしたものになりがちです。
しかし、その注文にはお客さんのいろんな想いが詰まってます。
誰かにプレゼントをする、欲しい商品が手に入る、急いでいたのが間に合いそう、お得に買いたい、などなど。その1つ1つの想いを考えながらSNSもメールも電話も運用していけばどうすればいいのかもわかってくるはずです。
無駄な施策をやめてコミュニケーションに時間をかけた方が小さい会社のECはうまくいくと思います。
大きくなってきてもその感覚でいる限りは大丈夫なはず。
くれぐれも率と数に頼った施策にはまらないように。