webサイトではなく、人に対して施策を考える
webサイトを分析している人には「改善提案ができません」とか「施策が通りません」ってお悩みがあります。そのほとんどの場合でwebサイトしか見ていないので、そりゃそうだろうな~って思うわけです。
Webサイトを使う人も提案する相手も「人」なんですからそこを見ないと。
数字は判断基準であってすべてではない
- フォームへの遷移率を改善しましょう
- サイト内の回遊率を改善しましょう
- 客単価を上げましょう
- キャンペーンで新規顧客を獲得しましょう
- CTAのクリック率を上げましょう
よく聞くやつです。
で、どうなるかというとボタンの色とか配置とか大きさとか割引率とかの話になるわけです。最終的にそうなるんですが誰に対してそれをやるのかが考慮されていないので、赤より緑とかもうちょっと右とか10%だと競合と比較してインパクトが無いって議論になってしまいます。
そんなことユーザーはどうでもいいんですよ。
欲しいものが見つかって、それが手に届く金額で、スムーズに問い合わせや購入まで行けて、途中のやり取りも快適であれば何でも良いのです。これがわからない。webサイトと数字しか見てないから。
「検索でこんなキーワードで、このページから見始めて、他にはこのページを見て、翌日に直接別のページから見始めて、ぐるぐる回遊して悩んだ後にお試し品を購入する人」。に対してどうするの?って考えるとまともなアイデアが出てきます。
2回目の訪問はリマケ、サービス名で検索、SNSから来る人は〇%なのでそこに誘導する。お試し品を購入する人はこのページとこのページとこのページを見る人が〇%なのでここへのリンクボタンだけを置く。などなど。
相手がわかればやることがわかります。
おじさんたちが大好きな「敵を知り己を知れば~」ってやつのために数字を使うだけで、数字自体をどうにかするわけではない。
改善点に気づいたら「誰」を考える
上に書いたように考えるようになればお客さんとの打ち合わせももうちょっと変わります。こんなユーザーがこんな動きをしていてこんな数字になっているんですが、実際のユーザーはどんな感じでしょうか?と聞けば、営業の人や店舗の人に聞いてくれてどうなのかがわかります。これがわかればその人に合わせていけばいいという流れ。
お客さんはユーザーと接しているのでそこを基準にしないとわからないのです。
中途半端に直帰率とかCVRとかを出すから話がそこにフォーカスされて、ぐりぐりとほじくっていって細かすぎて伝わらない計測とレポートになります。
注意点は「誰」がものすごくたくさんいるということ。その中の「誰」にフォーカスして考えると成果が出やすいのかを見つけ出すのが仕事。明らかに困っている人を助けるのか、楽しく買っている人を増やすのか、なんとなく見ている人をどうにかするのか。
「誰」は「ターゲット」とよく言われますね。でも「ターゲット」といってはダメです。自分たちの都合のいい動きをしてくれるユーザーだったりしますので。妄想と現実は違っていて、数字を扱う人間は事実を見ないといけません。常に「こんな人」で話しましょう。
「誰」を考えている人と話す
広告運用者、デザイナー、エンジニア。結果を出している人たちは常に「誰」を考えています。
この人たちと「誰」について考えるかを話し合ったり、「誰」について考えているのかを聞き出すことができればみんなの共通認識ができますので数字が見やすくなります。
広告はこんな人をイメージして配信面を考えて訴求を考えていて、それをデザイナーさんが踏まえてデザインしているはずだからその意図通りになっているのかを見ればいいです。意図通りになっていれば直帰率が低めになりますし、CVRもよくなりますし、いろんな数値が良くなるはずですし、もともと潜在層を見ているのであれば数字が良くなくて当たり前でどうなっていくかを追えばいいです。
関わっている人が「誰」を見ているかを知っていれば結果も想定できるので判断ができて、どの数字を追ってどこを直すかもわかります。
余談ですが「とれる」「あたる」「かっこいい」が頻繁に出来る場合は考え方が変わって、上に書いたようにデータからわかる基準を作って議論しましょう。ユーザーにとっては関係の無いことですから。
それでも「とれる」「あたる」「かっこいい」しか話さない場合は、なぜ「とれる」「あたる」「かっこいい」のか?を聞くか数字から調べてみましょう。抽象的なものを具体化しないと始まりませんので。
レポートを受け取るのも「人」
- 自分の施策で結果を出したい人
- 無難に言われたことを終わらせたい人
- 会社の目標を達成したい人
- レポートが欲しい人
- 細かいところに突っ込みたい人
など。
理屈的に正しい精緻なレポートが通らなくても、相手が興味がある内容でそこそこのレポートは通ります。「人」に対してレポートを出すのでレポートの精度を見ていても意味がないということです。それは最低限クリアすべきことであってゴールではありません。
ポイントはここをやった上で全体が良くなるようにすることです。通すだけならどうとでもなるのですが、これもまたユーザーには関係の無いことなのでユーザーにメリットがあることが実行されるように考えるということです。
レポートが欲しい人にはレポートを渡せばいいのですが、それが次に誰に渡ってどうなるかまでを聞いておいて、関わる人に興味がありそうな内容を盛り込んでおかないといけません。その人たちが実際に施策を動かす人であればそこを見た内容を入れるわけです。
レポートを出せばいいから出す。ではなくて、やるからにはどこかで誰かの役に立つように考えるわけです。
じゃないと何のために働いているのか分かりませんし、本当にレポートでよければツールを紹介すればいいです。
誰に何を伝えてどうしてほしいのか
コミュニケーションの基本はこれなので、ここを追求するだけです。
その手段として数字を活用するだけのことです。
くれぐれもwebサイトだけを見てwebサイトを改善することを考えることの無いようにしてください。
報告の時にケーキを持って行くだけであっさり動いてもらえることだってありますよ。