直帰率の改善についてのいろいろ
直帰率ってなにかと注目されやすい指標で、改善の対象になることも多いですよね。単純な指標でやることもそんなになさそうなんですが、考えだすと奥が深いのでいろいろ思うことを書いてみようかと。
直帰率の目安って?
必ず聞かれるやつ。こう答えるようにしています。
企業サイトやECサイト:40%前後
ブログ、LP:90%前後
計測がおかしいとき:10%以下
ホントに目安であって初めて「直帰率」という言葉を聞いた人向けの回答です。
40%は東京の平均気温と同じようなもの
夏もあれば冬もあって、朝もあれば昼もある中での平均気温なので何の役に立つのかと思いますが、海外から初めて日本に来る人には参考になるでしょうし、海外で地理を学んでいる人にも参考になるでしょう。
北極圏に近くて白夜があるような地域のようなのか、赤道直下で毎日暖かい地域のようなのか、とにかくそんなことを知る程度の目安です。
だからこう答えるし、そこにはたいした意味がないともお伝えします。
Google アナリティクスの直帰
直帰とは、サイト内の 1 ページしか閲覧されなかったセッションのことです。Google アナリティクスの場合、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回だけ発生させたセッションを特に区別して直帰として扱います。たとえば、ユーザーがサイト内のページを開いた後で、そのセッション中に Google アナリティクス サーバーに対する他のリクエストを発生させずに離脱した場合、このセッションは直帰のセッションになります。
直帰率 – アナリティクス ヘルプ
太字の部分がちょっとややこしいです。よく言われる「1ページだけ見て帰った人(セッション)」とはどこにも書いていません。
なぜ1ページだけ見た人を直帰と言ってしまうかなんですが、Google アナリティクスではタグを入れただけではページビューしかリクエストが発生しないので、1ページしか見ない=Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回だけ発生させたセッション、となるわけです。
多少なりともGoogle アナリティクスを使うのであれば知っておきたいですね。
Google アナリティクスの場合はいろいろ注意
Google アナリティクスで直帰率が低くなるのはこんな時。
- 同じIDのタグが二つ以上入っている(三つ以上は見たことないですが)
- iframeを使っている
- イベントなどのページビュー以外のヒットが発生している
二重計測
同じIDのタグが二つ入っていると、同じページでページビューが2回発生するので、ページにアクセスした瞬間にランディングしたページ→同じページという遷移になります。なので直帰率は10%以下になることが多いです。
同じページなのにサーバーに対するページビューのリクエストが2回発生しているということですね。
iframeの場合も同じです。親ページ→子ページという遷移が発生して親ページの直帰率が下がって滞在時間も減ります。
イベント
イベントは同じページなのにサーバーに対するイベントのリクエストが発生するので直帰ではなくなります。こんな時です。
- クリック計測
- スクロール計測
- タイマー計測
クリックの場合はどこかをクリックした時なので、そんなに直帰率が下がらないこともあります。
スクロールはスクロール率を5%などでイベント発生させていると直帰率は数%になります。
タイマーも5秒などで設定してイベントを発生させると同じように数%になります。
なので、イベント計測をする際は直帰率に影響を与えるということを知っておいて、どう評価するのかを考えないといけません。
Google アナリティクスのイベント計測で考えること
- そもそも直帰率は最初からそんなに重視しない
- イベントで直帰率が下がってもOK
- イベントは無視したい
直帰率が下がる理由がわかっていればOKとしていれば、今後はその数値が基準なので問題ないですよね。過去の比較はできませんよね。と認識していればそんなに気にしなくてもOK。
直帰率を見ていてそこに関してツッコミが入る時はイベントを無視しないといけないので、 nonInteractionを設定しましょう。直書きの場合は1、Google タグマネージャーの場合は真。
nonInteractionとは作用しないという意味なので、真の時にイベントを無視、偽の時にイベントを含めるとなります。ややこしいので注意。
直帰率を改善するときは参照元を見る
直帰率を改善するときに、行動>サイトコンテンツ>ランディングページを見る人がいますがこれだけでは危ないです。参照元ごとに違ってくるのでそこもチェックです。
セッション数が多いところから改善すると効果が高いので、セカンダリディメンションで参照元/メディアを入れましょう。こんな感じ。
かなり差がありますよね(セッション数も差がありますけどね)。
ユーザーはいろんなところからページを見に来るので、それごとに対応を考えないといけません。参照サイトの場合はどこから来たのか、検索の場合は、そのページがどんなキーワードでアクセスされているのかといったあたり。
もうちょっと詳しく見たいのなら、ピボットを使ってOSごとに見ればデバイスごとの差も分かりますよね。セグメントよりもこっちの方が楽なのでさっと見たい時はおススメ。
自然検索はSEO担当者に聞いてから
SEOの担当者がいる場合は、直帰率が高いからタイトルを直しましょうとか、文章を直しましょうと勝手に決めてはいけません。何かしらの意図があってこうなっているわけですから。
SEOに詳しい方はよく分かると思いますが、細かいことをチマチマとずっと続けてきて、それが知らん人にいきなり壊されるのは腹が立つというか、崩れ落ちるというか、再起不能になりますので。
直帰率の改善が会社の利益につながることは少ないので要注意です。
広告経由も広告運用者に聞いてから
どんな意図で、どんなユーザーを、どんな広告で、どれだけ集めようとしているのかがわからないと直帰率が高いとか低いのか判断ができません。高くてもCVしていればいいでしょうし、低くてもCVしていなければ意味がありません。
Google アナリティクスでここを見ようとしても分からないことが多いです。utmパラメータがついていないことが多いからですね。ここをちゃんと理解していて適切なパラメータに出会うことはほとんどないです。
Google広告と連携していればキャンペーンや広告のコンテンツ単位で見れることで多少は分かりますが、運用者の意図までは分かりませんので。
ここを知らずに広告の成果が良くないという人って多いので、日ごろから広告運用者の人と仲良くするか、広告のレポートを手に入れてチェックしておいてください。
知らないところでABテストをしてないか?
こんなこともあるわけですよ。
そりゃ直帰率に影響しますよね。
これ以外にも謎の施策が動いているケースは多々ありますので、可能な限り関わる人に確認してから直帰率改善の話を進めましょう。
知らないところで悲鳴を上げる人が出てきてからでは遅いです。
とにかく勝手なことをするな
くどいようですが、Google アナリティクスしか知らなくて、SEOも広告もあんまり知らない人。もしくは、webサイトで動いている施策を知らない人は直帰率について口を出すのは気をつけましょうね。すべてを破壊することだってありますので。
現状はこうなっているけど、それが本当に良くないかどうかは関係者に聞いてみないとわかりません。ぐらいのスタンスがいいでしょう。
データを扱う人間が前に出るとろくなことがないです。
どう改善するか?
対象のページの自然検索キーワードとの相性、各種広告との相性、どこかのwebサイトからのリンクとの相性、SNSとの相性などを考えないといけません。
それがわかってからランディングページのファーストビューを見てみて、違和感があれば直さないといけませんが、ページを直すのはそう簡単にいきません。それぞれでユーザーのモチベーションが違っていますので、1つの視点から見てしまうと他で悪化する可能性がありますよね。
全部を満たすことができないこともちろんあって、そんな時はリンク先のページが違うということになります。この場合はこっちに誘導すべきじゃないか?、新規でページを作ったほうがいいのではないか?ってことです。縦長ランディングページならABテストとか。
ランディングページが基準じゃなくて参照元を基準に考えて、適切なコンテンツが何かということを考えましょう。ユーザーはどこから来るのかを考えれば自然とわかることです。当たり前と思う人も多いはずですが、これができない人も多いです。ページしか見ていないからそれに縛られちゃうんですよね。
そんなこんなで直帰率の改善って実は難しい
いろんなことを知らないとできないのです。
全体の5%のしかないランディングページをいじるとか、スマホのアクセスが多いのにPCのデザインで語るとか、ディスプレイ広告で集めているページの直帰率が高いというとか、月間で100PVもないページで語るとか、とにかくやって意味の無いことが多いので、よ~~~~~~~~~~~~~く考えてから動きましょう。
※愚痴かよ