運営堂ブログ

『マーケティングのKPI 「売れる仕組み」の新評価軸』を読んだ。

Nexalの上島さんの本ということで予約して購入。期待を裏切らない良い本でした!

第1章~4章までは準備というかリードの定義やデータの取り方などの説明で、5章がマーケティングの評価方法、6章がリードマネジメント用語の定義、7章がアカウントベースマーケティング、8章がいわゆるアクセス解析というかWeb解析、9章が事例、10章がこれからのマーケティング組織の在り方、となっています。

まずは第1章~4章をよく読んで現場に落とし込まないと、そこから先を読んでもあまり意味がないというか、知識だけに終わってしまう可能性が大です。なんのためにそれをやっていて、誰がどう管理して、どう活かしていくのかという内容ですので。KPI設定に困ってそこだけ読まないようにしましょうね。

「(マスメディアだから)効果がよく分かりません」では、裏を返せば「私には知識がありません」という言い訳に過ぎない

など随所に上島さんらしい厳しい記述もあるので身が引き締まるというかスイマセン・・・と言いたくなってしまうほど現場感がある内容です(苦笑)。

■第1章~4章:リードの定義やデータの取り方

リードとは何ぞや?情報管理とは何ぞや?自分たち顧客(個客)はどうなの?、などなど根本的な知識を問われる章です。分かっているようで分かっていない部分ですし、できているかどうかすらわからない場合はここから始めないといけません。というか、ここがちゃんと理解されていて実行されている企業って少ないような気もしますが・・・。

BANT情報とかSCOTSMAN情報とかL2RMモデルなど、Webマーケティングの世界ではあまり聞かないモデルもあるのでじっくり読んでおきたい章です。私もここを読むのに最も時間がかかりました。

■第5章:マーケティングの評価方法

計算式、定義、解説、の3つがセットになって説明されていてとっても分かりやすいです!

大学受験の参考書のようですがビジネスの書籍でこういった書き方は珍しいと思うので新鮮でした。

自分が理解するのはもちろん、関係者にも共通言語として覚えてもらうと何かを仕事がスムーズになると思います。社内では同じ定義で用語が違うものがあるはずなので、その際は用語の部分だけ置き換えればいいですし、定義も自社に合わせて用語を変えれば使いやすそうです。

■第6章:リードマネジメント用語の定義

ここも5章と同じ構成で用語、定義、解説となっています。5章と6章がちゃんと理解できていれば、会議でも話も重みが出るというか自分の言葉で話しているのが分かってもらえるはずです。どこかから引っ張ってきたようなカッコいい横文字と思われるのから卒業しましょう。

経験の浅い人たちにも読んでほしい部分です。

■第7章:アカウントベースマーケティング

こちらはサラッとした内容。アメリカとの日本とのマーケティングの成り立ちの違いの説明をするためだからです。何でもかんでもアメリカから直輸入ではダメですよ、ということが書かれています。

■第8章:アクセス解析というかWeb解析

計算式、定義、解説の流れは変わりませんし、Webサイトの解析をしていた人にはおなじみの用語ばかりです。違っているのはその計算方法がWeb以外のリード情報から成っていたり、cookie情報を紐づけるなど細かくなっている点です。

Google アナリティクスのタグだけ貼っている場合はカスタマイズも必要です。くどいようですが第1章~4章を読んでおきましょう。

■第9章:ケーススタディ

Nexalさんの事例なので企業規模が大きめです。また、じっくり腰を据えて数年単位で取り込んでいる事例もありますので、読んですぐ真似て明日には結果が出るなんてものではありません。当たり前ですが。

データがある、現状もわかっているし課題もわかっている、やりたいこともわかっていて手段だけ分からない。そんな場合の事例なので自社がどこまで出てきているかを思い浮かべながら読んでみると良いと思います。

中小規模の企業ではスケールを全体的に縮めれば理解しやすいかと。

■第10章:これからのマーケティング組織の在り方

これからのマーケティング組織は、明確な戦略と運用体制、社内を動かすリーダーシップや地道に実行する継続力が求められる。外部に委託して一件落着という短絡的な発想ではなく、社内で知見を共有し、蓄積できる組織を整えるべきだ。

マーケの部署で外注して・・・というレベルでは到底無理ということですね。

会社の共通認識をここに持って行かないと始まらないので、いきなりはこのレベルではないにしても、ここを意識して組織を作っていかないといけないと思います。忙しいのに何でこんな面倒なことを・・・と思われてもノアの箱舟的に考えて説明して定着させていきたいところです。

まずは経営層からこの意識を、となるでしょうか。

多少なりともマーケティングに関わっている人は読んでおきたい良書です。

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