『「業界再編時代」のM&A戦略 ~№1コンサルタントが導く「勝者の選択」』を読んだ。
株式会社日本M&Aセンターでコンサルタントをしている渡部恒郎さんが書かれた本です。WebというかITの業界ではスタートアップも盛んで会社を売ることを目的にしているところも多いですし、目の前の仕事ばかりしているとそもそも自分の業界以外はどうなっているのか?という観点が抜け落ちてしまいますので勉強のために読んでみました。
「勝者の選択」と書かれてますが前半はいろんな業界の再編に関するこれまでとこれからの話で後半は実際のM&Aの事例の話です。選択に関してもM&Aという選択の説明なのでここだけ注意が必要です。
※幻冬舎様から本をいただきました。ありがとうございます。
■「50:70」の法則で業界再編が進んでいく
様々な業種のライフサイクルを「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」4つに分けて、上位企業のシェアが約10%になると「成長期」に入って売り手企業にとっては売り時になります。上位10社のシェアが約50%に達すると「成熟期」になって大手企業が中小企業を買収し始め、この機会を逃すと売るチャンスがなくなります。さらに上位10社のシェアが約70%になると今度は上位10社の統合が始まって最終的は4社に集約されます。
本文内では百貨店、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンターなどの業界を例に挙げて説明していますがおおむねこの流れになっています。どこかとどこかがくっついたというニュースはこのあたりの感覚を持っていると理解しやすそうです。
私のような個人には全く関係のないような世界に見えても、再編されることで末端のサービスも変わっていきま野でやはり流れには敏感になっておいた方が良いですよね。
といった話が1,2章。
■事業承継型、経営戦略型、業界再編型のM&A
敵対買収ってほとんどが事業承継型、経営戦略型、業界再編型のM&Aでした。メディアに取り上げられるものは話題になるものなので当然といえば当然ですがちょっと驚き。どれだけ自分の頭の中が偏っているのかということですね。もちろんこの本を読んだだけでもすべては理解できなくて、もっと関連書籍を読んで業界動向を長い時間をかけて追いかけないと分からないのでしょうが。
本来の内容とは外れたところで妙に納得してしまいました。
■事業承継型は早めに動かないと・・・
Web業界の勉強会も高齢化しているとかって記事もありましたが、若いと思っていてもそんなのは数年だけの話で40歳を超えてしまうと高齢化を意識しないといけないですよね。徹夜もできないし感覚も鈍くなるし何かを腰が重くなるし物覚えが悪くなるしで、できるだけ早く自分の築いたものを継承していかないといけないと感じます。
私の周りも頑張っている人はほとんど年下で、年上の人で頑張っているのはレジェンドクラスですので(笑)。
継承するほどのものがあるかどうかは別として、継続的なお付き合いのある得意先があれば今後も考えておかないといけないし、体調を崩すこともあるでしょうから、その時の保険のイメージでM&Aを考えてもいいのかな~と思います。上にもあるように売り時を逃すと八方ふさがりになっちゃいますし。
■3~5章はM&Aの事例と流れの説明
ここは書籍のタイトルをちょっとずれてしまいますが実務の流れが分かるのはなかなか参考になります。特に高値で売却する6か条は納得です。
- 信頼できる仲介業者に専任で依頼する
- 数字だけではなくて経営者の思いを伝える
- 隠し事をしない
- トップ面談以降は1社に絞って交渉する
- 業績のいい時が売り時
- 業界再編のタイミングを逃さない
M&Aだからといって特別なことをするのではなくて、そこまでに真っ当なことをしていないといけないということですね。いつも言っている「お天道様は見ている」です。
このあたりを意識しながら動いていかないといけないな・・・。
以下、目次。
第1章 最終的に大手4社に統合される。
あらゆる業界で「再編」が起きている
第2章 業績が絶好調で売却。
業界再編成時代のM&Aの「ベストタイミング」とは?
第3章 業界再編の大波に乗り、
会社を圧倒的高値で売却する
第4章 会社の飛躍的成長を実現。
事例に学ぶ、「買い手探し」成功の法則
第5章 M&Aという大仕事を成功させ、
「経営者の責任」と「余生の幸せ」を両立する
幻冬舎
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